スキルとは?AIエージェントに作業の手順を必要なときだけ教える仕組み

Claude Codeの配置:2026年10月9日に再確認
AIエージェントに「記事を公開する前の点検」や「PDFから表を取り出す作業」を任せるとき、毎回同じ手順を説明していないでしょうか。その手順を1つのフォルダーにまとめ、必要になったときだけAIに読ませる仕組みがスキルです。
本記事では、共通の規格であるAgent Skillsの仕様と開発元の公式ドキュメントをもとに、スキルの作りと、必要なときだけ読み込む仕組みを解説しましょう。
スキルとは
スキルは、特定の作業のやり方を指示・資料・スクリプトとしてまとめたフォルダーです。AIエージェントは、利用者の依頼がスキルの説明に合うと判断したときに、その中身を読んで作業を進めます。
Anthropicは、スキルを作った理由として、実際の仕事には手順の知識と組織の事情を知ることが欠かせない点を挙げていました。モデルは一般的な知識を持っていても、「この会社では請求書をこの順で確かめる」といった手順までは知りません。用途ごとに専用のエージェントを作る代わりに、手順をスキルとして持ち運べる形にしたわけです。
スキルの書き方は、2025年12月にAgent Skillsという共通の規格として公開されました。同じ形式のスキルを、複数のAIエージェントで使えます。
スキルの作り
スキルの中心は、SKILL.md という名前のMarkdownのファイルです。
SKILL.md の先頭には、name(名前)と description(説明)を書きます。この2つだけが必須の項目です。名前は小文字の英字、数字、ハイフンで64文字まで、説明は1,024文字までと決まっています。説明には「何をするか」と「いつ使うか」の両方を書くよう、仕様は求めていました。AIエージェントは、この説明を読んでスキルを使うかどうかを決めるからです。
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name: pdf-processing
description: PDFから文章と表を取り出し、フォームに入力し、複数のPDFを結合する。PDFを扱うときや、利用者がフォームや書類の抽出に触れたときに使う。
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(ここから本文。作業の手順、入力と出力の例、気をつける場面を書く)
本文には、作業の手順を普通のMarkdownで書きます。必要に応じて、実行するスクリプトを scripts/ に、詳しい資料を references/ に、文書の雛形などを assets/ に置くことも可能です。
必要なときだけ読み込む仕組み
スキルの一番の特徴は、中身を一度に読み込まない点にあります。仕様での呼び名は、段階的な読み込み(progressive disclosure)です。
AIエージェントが起動したときに読むのは、すべてのスキルの名前と説明だけです。仕様の目安では、1件あたり約100トークンにとどまります。依頼に合うスキルがあると判断したら、そのスキルの SKILL.md の本文(推奨は5,000トークン未満)を読む流れです。添えたスクリプトや資料は、手順の途中で必要になるまで読みません。
この仕組みのおかげで、スキルをたくさん入れておいても、コンテキストウィンドウの圧迫はわずかです。使わないスキルの分は、名前と説明だけで済みます。長い資料をスキルに添えても、その資料が要らない作業では読み込まれません。
指示ファイルとの違い
毎回読み込む指示ファイル(AGENTS.mdなど)と比べると、スキルの役割がはっきりします。
| 指示ファイル | スキル | |
|---|---|---|
| 読み込む時点 | 毎回、セッションの最初 | 依頼に合うと判断したとき |
| 書く内容 | どの作業でも守る事実と決まり | 特定の作業の手順 |
| 長さの目安 | 短く保つ | 長い資料も別のファイルに添えられる |
Claude Codeのドキュメントは、同じ指示を何度もチャットに貼っているときや、指示ファイルの一部が「事実」ではなく「手順」になってきたときを、スキルに移す目安に挙げていました。
なお、スキルも指示ファイルと同じく、モデルに読ませる文章です。手順を書いても、必ずそのとおりに動くとは限りません。どんな場合でも止めたい操作は、フックや権限で止めます。
入れるときの注意
スキルには、実行するスクリプトや、AIに従わせる指示が含まれます。他人が作ったスキルを入れることは、その人が書いた指示とプログラムを、自分の環境でAIに実行させることと同じです。
Anthropicは、信頼できる出どころのスキルだけを入れ、そうでないものは使う前に中身を確かめるよう勧めています。特に、添えられたスクリプトが何をするか、外部のサイトへ接続させる指示が含まれていないかを確かめましょう。悪意のある指示は、プロンプトインジェクションと同じ働きをするおそれがあります。
製品での使われ方
ここでは、Claude CodeとCodexを例に挙げます。どちらもAgent Skillsの規格に沿っており、SKILL.md の書き方は変わりません。
Claude Codeでは、プロジェクトの .claude/skills/<名前>/SKILL.md、または利用者全体の ~/.claude/skills/ がスキルの置き場所です。チャットで /スキル名 と入力すると、AIの判断を待たずに呼び出せます。AIには自動で使わせず、利用者が呼んだときだけ使うよう設定してもかまいません。
プロジェクト内の位置を、ほかの設定ファイルと並べた配置例を示します。
Claude Code全体の説明とフォルダー構成は、Claude Codeとはを参照してください。
project/
├── CLAUDE.md # プロジェクト全体の指示
└── .claude/
├── rules/
│ └── coding.md # 話題別の指示
├── skills/
│ └── review/
│ └── SKILL.md # この作業の手順
├── agents/
│ └── reviewer.md # カスタムサブエージェントの定義
└── settings.json # 権限やフックなどの設定
すべてのファイルを作る必要はありません。CLAUDE.md と .claude/rules/ の役割や、共有の AGENTS.md との関係は、指示ファイルの記事で説明しています。利用者全体で使うスキルの置き場所は、プロジェクトの外にある ~/.claude/skills/ です。
Codexでは、プロジェクトの .agents/skills/、または利用者全体の ~/.agents/skills/ に置きます。明示して呼ぶときは $スキル名 と書く仕組みです。Codexのドキュメントによると、最初に読み込むスキルの一覧は、使えるコンテキストの約2%に収まるよう抑えられています。