ナレッジカットオフとは?AIが最近のことを知らない理由

AIに最近の出来事を聞くと、「その情報は持っていません」と返されたり、少し古い情報で答えられたりすることがあります。AIの知識には、いつまでの情報を学んだかという締め切りがあるためです。
この締め切りを、ナレッジカットオフと呼びます。本記事では、AIの開発元の公式ドキュメントをもとに、締め切りの意味と、新しい情報を補う仕組みを解説していきましょう。
ナレッジカットオフとは
ナレッジカットオフは、LLMの学習に使ったデータが、いつまでの情報を含んでいるかを示す日付です。
LLMは、大量の文章を学習して知識を身に付けます。学習のデータを集め終えた時点より後の出来事は、データに含まれていません。さらに、学習を終えてからモデルが公開されるまでにも時間がかかり、公開後も同じモデルが使われ続けます。そのため、利用者がAIを使う日と締め切りの間には、数か月から1年以上の開きが出るのが普通です。
この開きの間に出た新しい製品、出来事、法律の改正などは、AIの知識には入っていません。
締め切りのあとのことを聞くと
締め切りのあとのことを聞かれたとき、AIが「知らない」と正直に答えるとは限りません。
学習した古い情報をもとに、いまも同じだと思い込んだ答えを返すことがあります。知らない話題について、もっともらしい作り話を返すハルシネーションが起きる場合もあるでしょう。 最近の出来事や、変わりやすい情報を聞くときは、答えをうのみにせず、出典を確かめることが大切です。
2種類の締め切り
Anthropicは、モデルの紹介で締め切りを2種類に分けて示しています。
1つは「確かな知識の締め切り(reliable knowledge cutoff)」で、モデルの知識が最も豊富で信頼できる日付です。もう1つの「学習データの締め切り(training data cutoff)」は、学習に使ったデータの、より広い範囲を示します。
確かな知識の締め切りから学習データの締め切りまでの出来事は、データには含まれていても、知識としては薄いということです。この期間について聞くときは、答えが不確かになりやすいと考えておきましょう。たとえばClaude Haiku 4.5では、確かな知識の締め切りが2025年2月、学習データの締め切りが2025年7月と書かれています。
検索で新しい情報を補う
締め切りのあとの情報は、AIにWeb検索を使わせることで補えます。
Googleのドキュメントは、GeminiをWeb検索につなぐ機能の目的として、ハルシネーションを減らすこと、最近の出来事に答えること、出典を示すことを挙げていました。AIは検索したほうが良い答えになるかを判断し、検索の言葉を作って実行します。そのうえで、結果をもとに出典つきの答えを返す仕組みです。
この仕組みは、AIに外部の機能を使わせるツールユースを使って動いています。検索の結果を読んでから答える点は、資料を検索して渡すRAGとも共通する考え方です。
製品での使われ方
ナレッジカットオフの日付は、AIの開発元がモデルの紹介ページで公開しています。AnthropicとOpenAIのモデル一覧には、モデルごとに締め切りの日付が載っていました。
チャットのAIの多くは、Web検索の機能を備えています。最近の出来事を聞くときは、検索を使った答えになっているか、出典が示されているかを確かめると安心です。