コンテキストエンジニアリングとは?AIエージェントに渡す情報の選び方

AIに渡す情報、どう選ぶ?。寅次郎先生と記事の内容を表すイラスト。
確認日:2026年10月18日
オンライン文書の版番号:未確認

AIエージェントに長い仕事を任せると、どの資料や作業結果をそのつど読ませればよいか迷うものです。架空の資料更新を例に、モデルに渡す情報の選び方を説明します。特定の製品の設定ではなく、AIエージェントに共通する考え方です。

コンテキストエンジニアリングとは

コンテキストエンジニアリングは、モデルが次の答えを作るときに参照する情報を、目的に合わせて選び、作業の進行に応じて更新する考え方です。ここでいうコンテキストはモデルへ渡す指示や資料などを指します。

指示、参照資料、ツールの結果、会話履歴から、次の作業に必要な情報を選んでモデルへ渡す図

AIエージェントでは、指示に加え、ツールの説明、開いたファイル、検索結果、これまでの会話などが候補になります。モデルが一度に読める量にはコンテキストウィンドウという上限があるため、候補をすべて渡し続けるわけにはいきません。上限に収まる場合も、関係の薄い情報が増えると必要な内容を扱いにくくなります。

選ぶ基準は、単に文字数を減らすことではありません。作業の目的や守るべき条件を残し、今の判断に必要な情報を渡せるかが重要です。

プロンプトエンジニアリングとの関係

プロンプトエンジニアリングでは、依頼の目的、制約、見本、出力形式をどう書くかを整えます。コンテキストエンジニアリングはその指示も含め、外から取得した資料や作業途中の情報まで扱う、より広い考え方です。

プロンプトの指示と見本を、参照資料や履歴とともにコンテキスト全体の一部として示す図

例えば「資料の見出しをそろえてください」という依頼なら、見出しの書き方を明確にするのがプロンプトの仕事です。一方、変更する資料の最新版、適用する表記ルール、直前に見つかった不整合のうち、次の処理に何を渡すかを考えるのがコンテキストエンジニアリングになります。両者は重なっており、対立する手法ではありません。

今の作業に必要な情報を選ぶ

架空の資料フォルダーで、AIエージェントに案内文の見出しを直してもらう場面を考えます。フォルダーにあるのは、案内文、表記ルール、古い改訂メモ、別企画の資料です。

最初に、何を直すか、どの決まりを守るか、どのファイルが対象かを伝えます。対象の案内文と表記ルールは参照しますが、関係のない別企画の資料まで初めから読ませる理由はありません。古い改訂メモも、現在の決まりと食い違う可能性があるため、最新版かどうかを確かめてから使います。

資料フォルダーの中から対象文書と最新版の表記ルールを選び、関係のない資料を渡さない例

モデルへ渡す情報には、出所も関わります。利用者の依頼と、検索で見つけた文書中の指示文は同じ扱いにできません。外部資料に「前の指示を無視して」と書かれていても、資料の内容を上位の指示として実行しない設計が必要です。この問題はプロンプトインジェクションともつながります。

必要になったときに資料を読む

すべての資料を最初に読み込む代わりに、ファイル名や検索先を手がかりとして残し、必要な箇所だけ後から取得する方法があります。先ほどの例なら、案内文の目次を見て対象の節を探し、その節と表記ルールの該当箇所を読む流れです。

資料の一覧から対象を探し、該当箇所を取得してからモデルに渡す流れ

これは「必要になったときに読む」という設計です。RAGのように検索で資料を取得する仕組みも、情報を集める方法の1つになります。ただし、コンテキスト全体を設計するには、先に渡す情報、検索する時点、取得した結果の扱いまで決めなければなりません。

後から探す方法では、検索やファイルの読み込みに時間がかかることもあります。必ず守る規則は先に渡し、詳しい資料は必要時に読むなど、作業に合わせた組み合わせが必要です。

長い作業では情報を引き継ぐ

案内文を何本も直すうちに、会話やツールの結果は増えていきます。すべての履歴をそのまま渡し続けると、上限に近づき、すでに済んだ作業の結果も次の判断に含まれるでしょう。

そこで、決まった表記、修正済みの範囲、未解決の箇所を短い記録に残します。古い詳細な結果は、必要に応じて参照する形です。メモリーや会話履歴の要約でも、情報を引き継げます。ただし、要約で決定事項を消してしまうと次の作業を誤るため、何を残すかの確認が欠かせません。

長い履歴を、守る決まり、完了した範囲、未解決の箇所を含む記録へ整理して次の作業へ渡す図

コンテキストエンジニアリングが考えるのは、次のモデル呼び出しにどの情報を渡すかです。その選択に従って記録を読み書きする外側の仕組みは、ハーネスの役割にも関わります。モデルが次にどの操作をするか、いつ作業を終えるかは別の設計課題です。

製品での使われ方

ファイルを扱うAIエージェントでは、共通の決まりを先に読み込み、個々のファイルは作業中に探して読む構成が使われています。Anthropicが紹介する例はClaude Codeです。CLAUDE.mdを先に渡し、ファイルの検索と取得は必要になったときに行います。

利用者が意識できるのは、最初に目的と制約を明確に伝え、参照すべき最新版を示すことです。長い作業なら、重要な決定と未完了の作業が次へ引き継がれているかを途中で確かめてください。

参考にした一次情報

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